B級グルメ祭典「B-1グランプリ」で焼きそばが圧倒的に強い理由

B-1グランプリは、すっかり秋の風物詩となった全国各地のB級グルメの祭典です。今年の第6回大会の優勝は岡山県真庭市の「ひるぜん焼きそば」となりました。第1回からのグランプリを数えると、富士宮やきそば、富士宮やきそば、厚木シロコロ・ホルモン、横手やきそば、甲府鶏もつ煮、ひるぜん焼きそばの順となっている。

B-1では圧倒的に焼きそばが強いのがわかりますね。全6大会中4大会で栄冠を勝ち取っていて、今回の上位10団体を見ても、ひるぜん焼きそばのほか、4位になみえ焼きそば、6位にも石巻焼きそばが入賞しています。

なぜ焼きそばはこんなに強いのでしょうか。

確かに今回も出店63団体中、12団体がやきそばを供していて、多勢であることは間違いありません。でも、優勝率66.7%とはあまりに強すぎるでしょう。その理由は、焼きそばを出す店舗が地域で生き残ってきた系譜と関わりが深いのです。

飲食店経営では、どんなに小規模でもキャッシュフローを回すのが絶対条件です。現在の飲食店経営でも、FLコスト(※Food/Laborの略)という、食材原価+人件費の比率は重視されますが、焼きそばのように原価が安ければ、急激に経営が悪化するということは考えにくくなります。

もうひとつ欠かしてはいけない視点がオペレーションです。客が焼く業態だけでなく、店が焼く業態でも、「焼きそば」は他に比べて圧倒的にオペレーションを簡素化できるのです。麺、ソースなどほぼすべての素材が外注可能で、肉やキャベツを切るだけでも立ち上げはできます。競合店も増えますが、駄菓子屋などとの兼業で副収入を得ることも可能となります。そうして経営が長く続けば、工夫をする店舗も現れるのです。

実際、今年のB-1での石巻焼きそばに加えられた出汁は、鰹節やさば節、さらにはサンマなどから抽出されていて、参加者によればこれまでより遥かにグレードアップしていたということです。優勝したひるぜん焼きそばにしても、地元で愛される味噌ベースの焼きそばソース「若田のたれ」や「落合のたれ」などが切磋琢磨してきた結果、栄冠にたどり着くことができたのです。

B級グルメ文化も、進化、継承が繰り返されることでその深みを増してきたということなのです。

B-1でグランプリを獲得すると、経済効果は獲得後の数か月に限定しても、約30億円にのぼるといいます。第一回、第二回と連覇した「富士宮やきそば」などは、焼きそばで町おこしをはじめた2001年以降の経済効果が昨年時点で439 億円(静岡市のコンサルタント会社「地域デザイン研究所」試算)と、もはや500億円に迫る勢いです。

焼きそばは、戦後の屋台に起源を持つと言われ、各地方の工場労働者や子どもたちのお腹を満たしてきました。そしてB-1に出場するような「ご当地焼きそば」のさらなる進化で「太く長く」愛されていくでしょう。

ちなみに今年上位に入った、ひるぜん焼きそば、なみえ焼きそばは、ともに太麺です。

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