日本酒を寝かせた熟成酒やビンテージ酒(古酒)の人気がじわりと広がっています。大阪ではこの春、専門店もオープンしました。背景には、かつての焼酎や最近のハイボールブームで苦杯をなめてきた地方の蔵元の努力がありました。
大阪・北新地に近い堂島に5月、一風変わった店がオープンしました。「菊姫 平成十二年度」「譽麒麟(ほまれきりん) 1998年」。カウンターだけの店内には、日本酒を10~20年熟成させた薄いあめ色や琥珀(こはく)色の酒が並びます。
「ビンテージは優しく酔えます。二日酔いもしにくいと言う人も多い」。一升瓶を手に「熟成古酒barくおん」の店主大橋眞優さんは話しました。「ビンテージが飲みたい」と言って飛び込んでくる客が増えているということです。
大橋さんがビンテージと出会ったのは、飲食店に勤めていた4年前でした。友人から飲ませてもらい、ビビッときたといいます。まろやかで、コクが深く、すっきりとした甘さ……。いろんな種類を探して試すうちに他の人にも味わってほしいと思うようになり、店を開いたのです。「ビンテージを出す店は少なく、他店との違いをアピールできます」。
酒造関係者によると、日本酒の多くはその年に醸造された「新酒」として市場に出ます。一方、醸造年に出荷されず、タンクや瓶で保存されて出荷されるのが熟成酒とされ、その中でも複数年にわたって寝かされ、「平成○年」などと記されたものがビンテージと呼ばれているといいます。
ビンテージに以前から着目していた老舗の蔵元が石川県白山市にあります。「菊姫」の17代目当主の柳達司さんは約40年前、売れ残ってタンクに5年ほど貯蔵した吟醸酒を味見し、祖父の「寝かせた酒はまろやかになる」という言葉を思い出しました。
しばらくは、客や問屋も「日本酒=新酒」という先入観が強く、「酸っぱいのでは?」などの反応が多かったといいます。どんな酒をどのように熟成させればいいのか試行錯誤を繰り返し、東京や大阪のホテルで何度も試飲会を開いてきました。
現在、数億円を投じた巨大冷蔵庫には、30年以上前のものを含む約10万本が眠っています。出荷量のうち新酒が約4割で、ビンテージが約6割を占めているということです。
ビンテージがじわりと広がる背景には、日本酒を取り巻く環境の変化があります。
国税庁の統計などによると、1975年度の消費量は167万5千キロリットルだったが、焼酎ブームなどで減少傾向になり、2009年度は61万7千キロリットルになりました。1位はビール(284万4千キロリットル)で、最近はハイボール人気にも押されているということです。
酒税収入の面でも、75年度は日本酒が全体の約3割を占めていたのですが、09年度は5%まで落ち込んでいます。日本酒の酒造場は3229から1761に減りました。
日本酒離れに加え、かつての「地酒ブーム」で各地の吟醸酒や純米酒が注目され、大手酒造メーカーが参入しました。菊姫など地方の蔵元の中には、生き残りをかけてビンテージに目を付けたところがあるといいます。
大阪市西区立売堀3丁目の酒店「島田商店」の島田洋一社長は、こうした蔵元から50種類以上のビンテージや熟成酒を仕入れます。店の地下にはビンテージを飲めるコーナーを設けており、その存在をインターネットなどで知った女性や若者が多く訪れるということです。島田社長は「小さな蔵の努力が実を結び始めた。『日本酒復権』の大きな可能性を感じています」と話しています。
飲んでみたいですね。
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